それは孔明の罠だ
【小説】
それは中国の三国時代、起源220年頃の話だった。「どのように小さい善でも賞せざるはなく、どのように小さい悪でも罰せざるはなかった」という彼の名は、諸葛亮 孔明(しょかつりょう こうめい)といった。
そして、背丈は8尺(190cm)を超える大柄な体型とは裏腹(うらはら)に、物静かで読書に熱心な性質を持っていた。
彼は、年の離れた兄の諸葛瑾(しょかつ きん)、弟の諸葛均(しょかつ きん)、さらには妹と兄弟の多い家庭の中で育つ。また、彼の父は役人で、それなりの地位を持っていた。
しかし、父は、孔明が幼い頃に他界した。そんな孔明が悲しみを抱きながら、父の墓の前に居ると、兄の瑾がやってきて励(はげ)ます。
「孔明、何か心に悩みでも生じたのか?」
「いや、瑾兄さん、ただなんというか、ここが落ち着いて・・・。」
9歳年上の兄は、彼にとって父に等しい存在だった。それから、この時代には蛮族(ばんぞく)と呼ばれる野党が多く暴れている。その蛮族が暴れ、通過した後の荒廃した様子に、孔明は悲しんでいた、という。
「どうやったら、数日前の悲しい風景を無くすことができるでしょうか」
兄は弟の肩に手を当て、ゆっくりとした口調で語る。
「おれは、そういった人々を救うために呉(ご)に仕えようと思う」
兄の諸葛瑾(しょかつ きん)がいうところ、呉という国になろうとしている、まだ小さい集まりがあり、そこに力を貸すことで世界を変えていく。
「しばらくは、兄弟が別れるが辛抱だ」
ただ見晴らしの良い高原の一角にある墓地の前で少年たちは誓う。そして、草木が風に流されながら、時間だけが過ぎていく。
つづく
※ 「それは孔明の罠だ」「自宅警備員」「へたれ」などの印刷された、Tシャツ販売があった。私は、それを観て、諸葛孔明の小説でもと考えた。もっとも、適当で続くかは未定です。また、データや会話内容は史実と異なります。
2018.10.10